家の中にいるのに足元が冷える、暖房をつけても壁際だけひんやりする、夏は二階や天井付近に熱がこもる。そんな違和感があると、断熱材がきちんと入っているのか気になる方もいらっしゃると思います。断熱材の欠損は、壁や天井の内側で起きることがあるため、見た目だけでは分かりにくいものです。この記事では、赤外線サーモグラフィを使った断熱材欠損調査の考え方や、調査前に整理しておきたいことを、暮らしに近い目線でお伝えします。
断熱材の欠損調査で見える熱の逃げ道
断熱材欠損の調査では、室内外の温度差や壁面の表面温度を手がかりに、熱が逃げやすい場所を確認します。冬の寒さや夏の暑さが残る原因は、窓だけでなく壁や天井の内側にある場合もあります。
断熱材欠損とはどのような状態か
断熱材欠損とは、本来入っているはずの断熱材が入っていない、すき間がある、ずれている、湿気で性能が落ちているような状態です。壁の中や天井裏で起こるため、外から見ただけでは判断しにくいことがあります。
熱の逃げ道が住まいに与える影響
断熱材に欠けた部分があると、そこから外気の影響を受けやすくなります。冬は暖房の熱が逃げ、夏は外の熱が入りやすくなり、部屋ごとの温度差や冷暖房の効きにくさにつながる場合があります。
目視だけでは判断しにくい理由
壁紙や外壁材に大きな傷みがなくても、内部で断熱材がずれていることがあります。目視調査は表面の状態確認に向いていますが、断熱材の入り方や熱の流れを知るには、温度差を確認する調査が役立ちます。
断熱材の欠損を疑う住まいのサイン
断熱材の欠損は、いきなり大きな不具合として現れるとは限りません。毎日の暮らしの中で、少し寒い、冷暖房が効きにくい、壁際が湿っぽいと感じることが、調査を考えるきっかけになります。
冬の寒さや夏の暑さが残りやすい部屋
同じ家の中でも、特定の部屋だけ寒さや暑さが残る場合は、外壁や天井まわりの断熱状態に差があるかもしれません。北側の部屋や最上階、角部屋は外気の影響を受けやすいため、症状が出やすい場所です。
冷暖房を使っても効きにくい場所
エアコンの設定温度を変えても快適になりにくいときは、機器の能力だけでなく建物側の断熱性能も確認したいところです。壁や天井から熱が出入りしていると、冷暖房の効果を感じにくくなる場合があります。
壁際や天井付近の結露やカビ
断熱が弱い部分では表面温度が下がり、室内の湿気が結露しやすくなります。壁際や押し入れ、天井付近に結露やカビが出る場合は、換気だけでなく断熱材の状態も見ておくと安心です。
光熱費の変化と建物の断熱性能
家族構成や電気料金の単価が変わっていないのに、冷暖房にかかる費用が以前より増えたと感じる場合もあります。断熱材欠損だけが原因とは限りませんが、建物の熱の逃げ方を調べる手がかりになります。
断熱材欠損が起こる主な原因
断熱材欠損は、新築時だけでなく、築年数が経った建物や改修後の建物でも起こることがあります。原因をひとつに決めつけず、建物の履歴や周辺環境も含めて見ることが大切です。
新築時や改修時の施工不良
断熱材は、壁の柱まわりや配管まわりにもすき間なく入れる必要があります。施工時に詰め方が不十分だったり、切り欠き部分の処理が甘かったりすると、そこが熱の逃げ道になることがあります。
経年劣化による断熱材のずれや沈下
建物は年月とともに振動や湿気の影響を受けます。断熱材の種類や設置場所によっては、時間が経つうちに下へずれたり、厚みが変わったりすることがあり、当初の断熱性能を保てない場合があります。
雨漏りや湿気による断熱材の性能低下
断熱材が水分を含むと、空気をためる力が弱くなり、断熱性能が落ちることがあります。雨漏りや結露が長く続いた場所では、断熱材の欠損だけでなく、周辺の木材や内装への影響も確認したいところです。
小屋裏や壁内など確認しにくい場所の問題
小屋裏、壁内、屋根の下地まわりは、普段の生活では見る機会が少ない場所です。点検口から見える範囲だけでは判断できないこともあるため、赤外線サーモグラフィによる表面温度の確認が役立ちます。
赤外線サーモグラフィによる断熱材欠損調査の仕組み
赤外線サーモグラフィは、物の表面温度を画像として確認する機器です。壁や天井を壊さずに温度の違いを見られるため、断熱材欠損の可能性を調べる方法として使われます。
表面温度の差から異常を確認する方法
断熱材が不足している部分は、周囲と比べて表面温度に差が出ることがあります。冬は冷たい外気の影響、夏は強い日射や外気温の影響が表れやすく、画像上の温度差から異常の可能性を読み取ります。
断熱材が入っている部分と欠けている部分の温度差
断熱材がきちんと働いている部分は、熱の出入りが抑えられます。一方で、欠けている部分やすき間がある部分は温度が変わりやすくなります。この差を周辺の構造や方角とあわせて確認します。
非破壊、非接触で建物を確認できる利点
赤外線調査は、壁を開けずに外側や室内側から確認できる点が利点です。住みながら調査しやすく、マンションや工場のように範囲が広い建物でも、状態の見当をつけやすくなります。
調査に適した天候や時間帯
赤外線調査は、気温差や日射の影響を受けます。雨が降っていると表面温度が乱れやすく、正確な判断が難しくなる場合があります。建物の向きや季節に合わせて、調査に向く時間帯を選ぶことが大切です。
赤外線調査で確認できる建物の範囲
断熱材欠損調査は、戸建てだけでなく、マンション、アパート、工場、倉庫などにも活用できます。建物の規模や形状によって、確認したい場所や必要な撮影方法は変わります。
戸建て住宅の外壁、屋根、天井まわり
戸建てでは、外壁面、屋根まわり、天井付近、小屋裏に近い場所などを確認します。特に二階の暑さ、北側の冷え、リフォーム後の違和感がある場合は、部屋ごとの温度差を整理しておくと調査が進めやすくなります。
マンションやアパートの外壁と共用部
集合住宅では、住戸ごとの断熱状態に加え、共用廊下や外壁面の温度差を確認することがあります。管理会社やオーナーの立場では、入居者からの寒さや結露の相談内容を記録しておくと判断材料になります。
工場や倉庫の大きな屋根や外壁
工場や倉庫は屋根や外壁の面積が広く、室内環境や保管物への影響も考えたい建物です。高所や広範囲を確認する際は、地上からの撮影に加えて、ドローンを使った点検が合う場合があります。
建設会社の下請け調査で求められる確認内容
建設会社からの依頼では、施工後の確認、改修前の現況把握、原因調査の資料づくりなどが求められます。撮影位置、温度条件、報告書の形式を事前にすり合わせることで、現場で使いやすい資料になります。
断熱材欠損調査を依頼する前の確認事項
調査を依頼する前に、建物の情報や気になる症状を整理しておくと、確認すべき場所が明確になります。専門的な資料がそろっていなくても、暮らしの中で感じていることが大切な手がかりになります。
築年数や過去の修繕履歴
築年数、増改築の有無、屋根や外壁の修繕履歴は、断熱材の状態を考えるうえで役立ちます。雨漏り修理や外壁工事を行った時期が分かると、温度差の原因を絞り込みやすくなります。
気になる部屋や症状の整理
寒い部屋、暑い部屋、結露が出る場所、カビが発生した場所をメモしておくとよいです。朝と夜、晴れの日と雨の日など、症状が出る条件も分かる範囲でまとめておくと、調査時の確認に役立ちます。
図面や建物資料の有無
平面図や立面図、断熱材の仕様書がある場合は、調査の参考になります。資料がない場合でも調査は可能ですが、壁の構造や改修範囲が分かると、温度差の読み取りをより慎重に行えます。
調査結果として受け取れる資料の内容
調査後にどのような資料が受け取れるかも確認しておきたい点です。赤外線画像、通常写真、調査場所、見解、今後確認したい点などが整理されていると、管理組合や施工業者への相談にも使いやすくなります。
赤外線調査とほかの調査方法の違い
断熱材欠損を調べる方法には、目視、赤外線、壁を開ける確認などがあります。それぞれに向いている場面があるため、建物の状態や目的に合わせて組み合わせることが大切です。
目視調査との違い
目視調査では、外壁のひび割れ、雨染み、内装の傷みなどを確認します。表面の異常を知るには欠かせませんが、断熱材の欠損そのものは見えないため、赤外線調査で温度差を確認する意義があります。
壁を開ける調査との違い
壁を開ける調査は、断熱材の状態を直接見られる反面、建物への負担や復旧の手間が生じます。赤外線調査は非破壊で広い範囲を確認し、必要な場所を絞るための事前調査として使いやすい方法です。
ドローン調査との組み合わせ
屋根や高い外壁は、地上からでは確認しにくい場所があります。ドローンに赤外線カメラを搭載すれば、高所の温度差や外壁面の状態を安全に確認しやすくなります。足場を組む前の判断材料にもなります。
調査方法を選ぶときの考え方
調査方法は、原因をどこまで知りたいか、建物を傷めずに確認したいか、報告書が必要かによって変わります。まずは症状と目的を整理し、必要に応じて複数の方法を組み合わせると無理がありません。
株式会社三結の赤外線建物診断とドローン点検
株式会社三結は、茨城県結城市を拠点に、関東近郊で外壁および屋根の点検を行っています。断熱材欠損の調査では、赤外線サーモグラフィやドローンを活用し、建物を壊さずに状態を確認します。
赤外線建物診断技能師による建物調査
調査は、公的資格である赤外線建物診断技能師が担当します。赤外線画像は温度差を見るだけでなく、天候、方角、建物の構造をふまえて読む必要があります。資格者による確認は、報告内容の分かりやすさにもつながります。
産業用ドローンと赤外線カメラを使った高所点検
産業用ドローンと赤外線カメラを使うことで、屋根や高い外壁など、人が近づきにくい場所も確認しやすくなります。DJI MATRICE 350 RTK等の機体を用い、建物の形状に合わせて撮影します。
外壁、屋根、雨漏り、断熱診断への対応
外壁の浮きや剥離、屋根の劣化、雨漏りの経路確認、断熱材の欠損調査など、建物の点検を幅広く行っています。建築基準法第12条に基づく特定建築物の定期調査報告にも対応しています。
点検結果に応じた施工業者紹介の相談
株式会社三結は点検と診断を中心に行っています。点検結果をもとに補修が必要と考えられる場合は、内容に応じて適切な施工業者の紹介について相談することも可能です。
断熱材欠損調査でよくある疑問
初めて断熱材欠損調査を依頼する方は、時間や足場、天候のことが気になると思います。ここでは、事前に知っておくと安心しやすい点を整理します。
調査にかかる時間の目安
調査時間は、建物の規模、撮影範囲、室内外の確認場所によって変わります。戸建ての一部確認であれば比較的短時間で済む場合がありますが、集合住宅や工場では範囲に応じた時間が必要です。
足場が必要になる場合
赤外線調査やドローン点検では、足場を組まずに確認できる場面があります。ただし、建物が密集している場所、飛行が難しい環境、近接確認が必要な場所では、別の方法を検討することがあります。
雨の日や曇りの日の調査可否
雨の日は壁や屋根の表面温度が変わりやすく、断熱材欠損の判断に影響する場合があります。曇りの日でも調査できることはありますが、目的によって適した条件が変わるため、事前確認が大切です。
調査後に補修が必要と判断された場合
調査で断熱材欠損や雨漏りの疑いが見つかった場合は、報告内容をもとに次の確認や補修を検討します。補修が必要なときは、建物の状態や工事内容に合う施工業者の紹介について相談できます。
まとめ
断熱材欠損は、壁や天井の内側で起こることがあるため、見た目だけでは気づきにくい不具合です。部屋ごとの寒さや暑さ、冷暖房の効きにくさ、結露やカビが気になるときは、建物の熱の逃げ道を確認することが安心につながります。
赤外線サーモグラフィによる調査は、表面温度の差を手がかりに、断熱材の欠損やすき間の可能性を調べる方法です。非破壊、非接触で確認できるため、住まいや管理物件、工場、倉庫などでも検討しやすい調査です。
まずは築年数、修繕履歴、気になる部屋や症状を整理し、建物の状態を知ることから始めるとよいでしょう。調査結果をもとに必要な対応を考えることで、大切な建物を無理なく守りやすくなります。


